右も左もわからないまま足を踏み入れた高級クラブの世界。
高級クラブのホステスの仕事は、お酒を作って会話をする、確かに基本はこれだけです。一見誰にでもできそうな簡単な仕事のように思えますが、現実はそうはいきません。
お酒の作り方は慣れるにしても、お客様との会話が仕事の悩みでした。お客様から高いお会計をいただく以上、それなりの会話と気遣いでおもてなししなくてはいけません。
そんな接客に悩んでいたある日、あるお客様が私が新人ということを知り、流暢に水商売について語り始めました。そして、その方は私にこんなことを教えてくれました。
「いいか、ホステスの仕事っていうのは、飲むか、話すか、寝るか、この三つしかない。この三つのうち、最低でもどれか一つはプロとしてできないとホステスとしての資格はない」
飲む、話す、寝る・・・?!
正直その時はピンときませんでした。それでも、そのお客様が教えてくれた意味が理解できるまでそう時間はかかりませんでした。結論から言うと“客にお金を落とさせないホステスはプロではない”ということでした。
『飲む』=ホステスがお酒を飲み、お客様のボトルを空けることでお店の売上げに貢献する。
『話す』=お客様を楽しませる会話を提供することで来店につなげ、売上げに貢献する。
『寝る』=ホステスとのセックスを目的にお客様がお店に通い、結果売上げにつながる。
どれをとってもお店の売上げに貢献するというのは現実には厳しいものです^^;
まず、飲むといってもプライベートで飲むのとはわけが違いますので、お酒ばかり毎日飲んでいては体が悲鳴を上げはじめます。実際に飲みすぎや急性アルコール中毒で入院するホステスも珍しくはありませんし、当時は私もかなり体が苦しかったのを覚えています。
次に、話す会話ですが、お客様が座って5万円出してでも話したくなるくらいの会話で楽しませなくてはいけないのです。5万円の価値のある会話、そう簡単に提供できるものではないでしょう。たくさんの会話の引き出しと、女性としての色気と魅力を持たなくてはいけません。
私もお客様との会話には一番苦労しました。体を触られそうになろうと、どんな誹謗中傷を言われようと、それでも常にお客様を満足させなくてはホステスとしては勤まらないのです。
さらに、寝るですが、この方法を使うとプロのホステスとしてはレベルの落ちた目で周りから見られます。こういうホステスを枕ホステスと呼んでいるのですが、寝ることでしかお客様を呼べない、つまり、本来あるべきホステスの仕事とは違った手段で売上げを上げなければいけないのです。
どれをとっても大変なことですが、ホステスの給料が高給ならばそれに見合うだけの売上げに貢献するのがプロ、それ以外は容赦なく切り捨てられます。
結局は、この三つが高級クラブのホステスの仕事です。お店の売上げに貢献できるかできないか、つまり、飲むか、話すか、寝るかなのです。
>モテる女の法則トップへ
|